2017年10月19日木曜日

教員インタビュー 渡辺昭太先生 (前編:研究分野について)


渡辺昭太先生にインタビューをしてみた!(前編)


こんにちは!今回は、今年度新たに国際文化学部に着任されました渡辺昭太先生にインタビューをしてきました。実は、渡辺先生は法政大学国際文化学部の卒業生でもあります。ご自身の研究はもちろんのこと、国際文化学部での学生生活などについても伺ってきました。前編となる今回は、渡辺先生の研究分野を中心に紹介します。

渡辺昭太先生のプロフィール


研究テーマ

中国語学
日中対照研究
中国語教育

担当授業

中国語
中国の文化Ⅳ(中国語の構造)
中国の文化Ⅴ(中国語と日本語)
中国語科教育法Ⅰ・Ⅱ







インタビュー内容


Q1.最初に国際文化学部卒業後のご経歴を教えてください。


法政大学国際文化学部を卒業後、東京大学大学院へ進学しました。中国語の文法の研究をしたかったのですが、法政大学の大学院にはその専攻がなかったので、自分が研究したいことができる、他大学への進学を考えました。
どこの大学院でもそうですが、大学院は修士課程とその上の博士課程に分かれています。私は博士課程まで行きました。
修士課程の1年生の時は、中国語だけでなく、広く言語一般に関する授業があって結構大変でした。必修科目が4つぐらいあったのですが、担当の先生の多くはアメリカの大学院を出た方で、アメリカ式のやり方で授業をされました。テキストは全て英語で、授業で扱う箇所は事前に全て読み込んでいることを前提に授業を進めます。ですから、予習をせずにただ座っているだけでは授業についていけません。修士課程1年生の時は、中国語研究の授業ももちろんありましたが、言語学の全般的な知識を付ける授業の方が多かったですし、そちらのほうに学習時間をかけました。
修士課程2年生になると、出席しなければならない授業は減ります。主に自分の専門である中国語研究に関する授業に出つつ、修士論文の執筆に力を入れました。
修士課程の2年間が終わると、博士課程に入りました。自分の博士論文の執筆に向けて、自分の研究テーマを掘り下げていきました。また、学会で発表したり、学術雑誌に自分の論文を投稿したりと、それまでに研究したことを外に向けて発信する機会も増えてきました。また、大学院の同期のメンバーで一緒に研究会や勉強会を定期的に開き、自分の研究の進捗状況などを発表し合ったり、一つのテーマについて一緒に議論したりしました。

大学院時代には留学にも行きました。中国政府奨学金を受給し上海師範大学の大学院に留学しました。現地では、高級進修生(大学院研究生)という身分で研究活動を行いました。ゼミに出たり、自分の研究について発表したりもしました。

大学院を出てからは、大学や専門学校で中国語を教え始めました。一番、最初に教えたのは外国語の専門学校でした。選択科目の中国語を担当していたのですが、受講した学生はなんとみんな韓国人でした。そのため、日本人が韓国人に中国語の授業をするという、なんとも不思議な光景でした。その時の学生は3名ほどでアットホームな雰囲気で授業ができました。その後、いくつかの大学でも教えるようになりました。私は比較的いろんな授業を担当した経験があって、中国の留学生を対象とした翻訳の授業なども担当しました。
 法政大学では、最初に多摩キャンパスの経済学部で中国語を教え始めました。その後、市ヶ谷キャンパスの教職課程や国際文化学部の授業も担当するようになり、今年度、国際文化学部の専任教員として着任しました。

上海師範大学の始業式での挨拶。一番左側の方が渡辺先生です。

杭州旅行にて西湖湖畔にある雷峰塔を訪れた時の写真


Q2.渡辺先生ご自身の研究内容について教えてください。


専門は、現代中国語の文法です。特に、私自身が一日本人として、中国語を勉強した経験があるので、日本語母語話者の視点から見て不思議に感じられるところ、理解しにくいところ、「どうして中国語はこういう場合にこういう表現を使うのだろう」という違和感を大事にしつつ、それをとっかかりとして、論文を書くことが多いです。
これに関連して、中国語と日本語の対照研究も行っています。日本語母語話者が中国語を学ぶ時、あるいは逆に中国語母語話者が日本語を学ぶときに、どうしても間違いをおかしてしまいます。その時に、どうして間違いが起きるのか分析して日本語と中国語の特徴や文法の違いを研究したりもします。中国語などの外国語を学ぶ、あるいは教えたりすることは、母語である日本語についても深く考えるきっかけを与えてくれると思います。

Q3.中国語の研究を始めたきっかけを教えてください。


元々、中国語に限らず文法が好きだったこと、そして、学部時代に言語の教育に興味を持ったこと、これらが中国語研究を始めたきっかけですね。学部時代に、鈴木靖先生のゼミで中国語の教材開発を自分の研究テーマにしていました。国際文化情報学会(※1)でも発表しました。そこで、研究の面白さに触れ、もっともっと勉強してみたいという思いが強くなりました。
中国語の教材を開発するには、何よりもまず自分自身が中国語という言語そのものを深く理解する必要があると感じました。教材開発や教育というのは、様々な要素が複雑に関与してきますので、言語さえ理解できていれば良いというものではないのですが、ともあれ、中国語に対する深い理解は不可欠だと感じ、中国語学を本気で勉強してみようと思いました。
元々私は、高校では普通科英語系という、英語を専門とするコースに在籍していました。そこでも、文法や作文の授業は大好きでした。大学でも英語を専門にしようと思っていましたが、「もう一個ぐらい言語をやってみたら」と学校の先生から言われたことやクラスに中国からの帰国子女の友達がいて仲良く喋っていたことから中国語に興味を持ちました。文法好きと教育への興味、これが中国語研究のきっかけです。

※1 国際文化情報学会:国際文化学部で毎年開催している学会。詳しくはこちらの記事をご覧ください。http://hoseiintaculturalcommunication.blogspot.jp/2016/12/2016.html「法政大学国際文化学部 国際文化情報学会2016」


Q4.中国語の語学学習で大切なことを教えてください。


古いと言われるかもしれませんが、読み書きの面では、文法事項をきちんと覚え、その規則に則って翻訳や作文の練習を繰り返しやることが重要だと思います。単語は辞書を丁寧に引きながら読解を行うというのが鉄則だと思います。単純作業で面白くないように思うかもしれませんが、その面白くないと思うことをコツコツと積み重ねられるかどうかが、結局は確実な語学力を付けられるかどうかを左右すると思うので、単純なことを地道にやっていくことが大切だと思います。そういう文法的な知識やじっくり身につけた知識は、会話の練習をする際にも確実に役立ちます。「これでもか」というくらい、繰り返し覚えた文法事項や単語や構文は、それこそ喋る時に自然と口から出てくるようになるのです。コミュニケーション重視という風潮もありますが、その前提として文法事項や重要な単語を徹底的に頭に入れる訓練を経て体にしみこませると、それこそ文法を気にせず話せるようになるのだと思います。
聞く力を鍛えるためには、ディクテーション(※2)をするのがよいと思います。TOEICや中国語の語学検定試験などのいわゆるリスニング問題は、6割から7割程度聞き取れれば、正解にたどり着けることが多いのですが、ディクテーションは100%聞き取れなければできません。これは大変な作業ですが、大きな力になると思いますのでおすすめです。当たり前ですが、外国語は母語ではないので、そうである以上、じっくり時間をかけて、丁寧に学んでいく必要があります。近道ってないですよね。

※2 ディクテーション:読み上げられた外国語の文章を書き取ること


渡辺先生ありがとうございました!


渡辺先生の中国語学への思いや研究内容を知ることのできるインタビューでした。また、先生が研究されている中国語と日本語の対照研究は、「中国の文化Ⅴ(中国語と日本語)」という授業で学ぶことができますので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
次回は、渡辺先生が国際文化学部で過ごした大学生活について紹介します。SA(スタディ・アブロード)やゼミなどのお話を中心にお伝えします!





執筆者:古池萌

0 件のコメント:

コメントを投稿